この記事の結論
大きな契約や重要な取引の契約書は、サインする前に、専門家(弁護士)のチェックを受けると安心だ。鍵は、重要・高額な契約に絞ってチェックを使い、不利な条項や抜けを見てもらうこと。チェックは、必ず「サインする前」に行う。すべての契約に頼む必要はなく、契約の重要度(費用対効果)で判断する。リーガルチェックは、後のトラブルを防ぐ、予防の投資だ。
この記事は、Lv.4(法人期)の一人社長に向けて書いています。
重要な契約は「サインする前」に
法人になると、取引が大きくなり、重要な契約を結ぶ場面が増える。大口の取引、長期の契約、共同事業、ライセンス。これらの契約書は、一度サインすると、その内容に縛られる。
だからこそ、重要な契約は、サインする前に、専門家(弁護士)のチェックを受けることを検討したい。これを「リーガルチェック」と呼ぶ。自分では気づかない不利な条項や、抜けを、専門家の目で見つけてもらう。サインしてしまってからでは、遅い。重要な契約ほど、結ぶ前に、専門家の目を通す価値がある。これは、弁護士に相談することの、契約版だ。
「自分で読む範囲」と「頼む範囲」を分ける
すべての契約を、弁護士にチェックしてもらう必要はない。自分で読める範囲と、専門家に頼む範囲を分ける。
業務委託契約のような、よくある契約は、基本のチェックポイント(業務範囲・金額・賠償の上限・解除条件)を、自分で読んで確認できる。一方、金額が大きい、内容が複雑、前例のない契約は、専門家に頼む。
自分の法務知識で対応できる契約は自分で、手に負えない重要な契約は専門家に。この線引きが、費用を抑えつつ、重要な契約を守る、バランスになる。日常の契約まで全部頼むと、費用がかさむ。重要なものに絞る。
「不利な条項・抜け」を見てもらう
リーガルチェックで、専門家に見てもらうのは、主に2つだ。
不利な条項
自分にとって、一方的に不利な条項がないか。過大な損害賠償、不公平な解除条件、リスクが自分に偏った内容。これらを、専門家は見抜く。
抜け・漏れ
本来あるべき条項が、抜けていないか。トラブル時の取り決め、権利の帰属、想定外の事態への備え。素人では気づきにくい「ないことの問題」を、専門家は指摘できる。
自分で読むと、書いてあることは分かっても、「不利かどうか」「何が足りないか」は判断しにくい。ここに、専門家のチェックの価値がある。
必ず「サインする前」に
リーガルチェックで、絶対に守りたい原則。チェックは、サインする前に行う。
サインしてしまった契約は、その内容に拘束される。後から「この条項は不利だった」と気づいても、簡単には覆せない。だから、チェックは、必ずサインの前だ。「とりあえずサインして、後で見てもらう」では、意味がない。
重要な契約を前にして、相手から「早くサインを」と急かされても、重要なものほど、チェックの時間を取る。急かされたら持ち帰る、という原則は、契約でも同じだ。サインは、納得し、必要ならチェックを受けてから。
「費用対効果」で判断する
リーガルチェックには、費用がかかる。だから、契約の重要度(費用対効果)で、頼むかを判断する。
その契約が、もしトラブルになったら、どれだけの損害になり得るか。それに対して、チェックの費用は、見合うか。大きな金額・大きなリスクの契約なら、数万円のチェック費用は、安い保険だ。逆に、小さな契約に、毎回チェックを頼むのは、割に合わない。
契約のリスクの大きさと、チェック費用を天秤にかける。リスクの大きい重要な契約に、リーガルチェックという投資をする。これは、紛争解決を金額・労力で判断するのと、同じ発想だ。
法人期の一人社長へ
法人になると、重要な契約を結ぶ場面が増える。一度サインすると縛られる契約は、結ぶ前に、専門家のチェックを受ける価値がある。
重要・高額な契約に絞ってチェックを使い、自分で読める範囲と頼む範囲を分ける。不利な条項や抜けを見てもらい、チェックは必ずサインする前に行う。そして、契約の重要度(費用対効果)で判断する。リーガルチェックは、契約後のトラブルを防ぐ、予防の投資だ。すべての契約に頼む必要はないが、事業を左右する重要な契約は、専門家の目を通してから、サインする。それが、法人期の一人社長の、契約を守る知恵だ。