この記事の結論

会社員のときは、年末調整で税金が自動精算されていた。独立すると、それがなくなる。代わりに、自分で確定申告して、一年の税金を締める。鍵は、控除を自分で集めて申告し、税金分を一年通して自分で取り分けておくこと。「天引きされない=後でまとめて払う」世界に慣れる。税金を、人任せでなく、自分で締める。それが、独立後の生き方だ。

この記事は、Lv.3(安定期)の一人社長に向けて書いています。

「年末調整」が、なくなる

会社員だったとき、年末になると「年末調整」があった。会社が、一年の所得税を計算し直し、払いすぎていれば戻り、足りなければ追加で引かれる。生命保険の控除なども、書類を出せば、会社が処理してくれた。税金は、給与天引きと年末調整で、自動的に精算されていた。

独立すると、この年末調整が、なくなる。会社がやってくれていた税金の精算を、自分でやることになる。これは、独立後の税金管理で、最も大きな変化の一つだ。「税金が自動で精算される」前提が崩れる。年末調整のない世界に、慣れる必要がある。

年末調整の代わりは「確定申告」

年末調整がなくなった代わりに、独立後の税金を締めるのが、確定申告だ。

会社員の年末調整に当たるものを、一人社長は、自分で確定申告として行う。一年の所得を計算し、控除を反映し、税額を確定させ、納める(または還付を受ける)。年末調整が「会社がやる自動精算」なら、確定申告は「自分でやる手動精算」だ。

つまり、年末調整がなくなったからといって、税金の精算がなくなるわけではない。やる人が、会社から自分に変わっただけだ。確定申告という形で、自分で締める。これを理解すれば、年末調整がない世界も、怖くない。

「控除」は自分で集めて申告

年末調整では、会社に書類を出せば、保険料控除などを処理してくれた。独立後は、これも自分でやる

これらの控除に必要な書類を、自分で集め、確定申告で申告する。会社が代わりにやってくれないので、漏らすと、控除を受けられず、税金を払いすぎる。年末から年明けに届く証明書を、なくさず集めておく。控除は、自分で取りにいくもの、という意識を持つ。

税金分を「一年通して取り分ける」

会社員のときは、税金は毎月の給与から天引きされ、年末調整で精算された。だから、税金を「自分で取り分ける」感覚は、なかった。

独立すると、これが一変する。売上は、税金が引かれていない「丸ごとの金額」で入ってくる。だが、その中から、後でまとめて税金を納める。だから、税金分を、一年通して、自分で取り分けておく必要がある。

これを忘れて、入ってきたお金を全部使ってしまうと、確定申告の時期に「納税するお金がない」と慌てる。売上が入るたびに、税金分(と社会保険分)を、別に確保しておく。これは、資金管理の基本でもある。天引きされない分、自分で取り分ける規律が要る。

「天引きされない」ことに慣れる

年末調整がない世界の本質は、「税金が、天引きされない」ことだ。会社員のときは、知らないうちに天引きされ、手取りだけが入っていた。独立後は、税引き前の金額が入り、税金は後で自分で納める。

この違いに、慣れる。手元にあるお金が、全部使えるお金ではない。その中に、後で納める税金分が含まれている。「手取り」ではなく「税引き前」でお金が入る世界だ、と意識を切り替える。この切り替えができると、確定申告の時期に慌てず、計画的に税金を納められる。天引きという「自動の安全装置」がない分、自分で管理する。

安定期の一人社長へ

会社員のときは、年末調整で税金が自動精算されていた。独立すると、それがなくなり、確定申告で、自分で一年の税金を締める。これは、独立後の税金管理の、大きな変化だ。

年末調整は会社がやってくれていた精算だと理解し、独立後は確定申告がその代わりだと知る。控除は自分で集めて申告し、税金分を一年通して取り分けておく。そして、「天引きされない」世界に慣れる。なお、いずれ法人化して自分や家族に給与を払う側になると、今度は自分が年末調整のやり方を覚え、払う側として税金を締める立場になる。年末調整がなくなったのは、税金がなくなったのではなく、締める人が自分に変わっただけだ。自分で税金を締められるようになることが、独立した一人社長の、お金の自立だ。