この記事の結論

独立期の家計管理のコツは、波のある事業収入を、そのまま家計に流さないことだ。事業の口座から、自分に「固定給」を払う感覚を持つ。いい月の余剰は貯めて、悪い月に備える。税金は毎月先取りで積み立てる。これで、収入が上下しても、家族の生活は安定する。家計の安定は、事業を続ける土台になる。

この記事は、Lv.2(独立期)の一人社長に向けて書いています。

会社員の感覚のままだと、行き詰まる

会社員のとき、家計はシンプルだった。毎月決まった給料が入り、その範囲で暮らす。収入が読めるから、計画も立てやすかった。

独立すると、これが崩れる。今月は大きな入金があり、来月はゼロ、ということが起きる。会社員の感覚で「入ったお金を、入った分だけ使う」と、いい月に気が大きくなって使いすぎ、悪い月に立ち行かなくなる。波のある収入には、波のある収入なりの家計管理がいる。これを独立期に身につけないと、事業の前に家計が破綻する。

自分に「固定給」を払う

波のある収入を安定させる、最も効く方法がこれだ。事業の収入を、いったん事業のお金としてプールし、そこから毎月、自分に一定額を「給料」として家計に移す

たとえば、月によって事業収入が20万〜80万と上下しても、家計に回すのは毎月30万、と決める。多い月は事業の口座に余剰がたまり、少ない月はその余剰から補う。こうすれば、家計は毎月30万で回り、会社員のときのような安定感が戻る。事業の波を、事業の口座で吸収し、家計には一定額だけを流す。これが、収入不安定期の家計管理の核心だ。

事業と家計の「口座を分ける」

固定給の仕組みを成り立たせる前提が、事業の口座と家計の口座を分けることだ。

これが混ざっていると、口座の残高を見て「今月は余裕がある」と錯覚し、本来は事業や納税に必要なお金まで使ってしまう。事業用の口座を別に持ち、そこに売上を集め、税金や経費の備えを残した上で、家計用の口座に「固定給」を移す。お金の流れを分けることで、使っていいお金と、手をつけてはいけないお金が、はっきりする。

「いい月」の余剰を、悪い月のために

独立期は、いい月と悪い月が交互に来る。ここで大事なのは、いい月の余剰を使い切らないことだ。

大きな入金があると、つい「臨時収入」のように感じて、使いたくなる。だが、その余剰は、来るべき悪い月のための備えだ。いい月にしっかり貯めておけば、収入が落ちた月も、慌てずに済む。収入を月単位ではなく、半年・1年単位の平均で捉える感覚を持つ。波の山で蓄え、谷で取り崩す。これができると、収入が不安定でも、生活は安定する。

税金は「先取り」で別に積む

独立期の家計が突然苦しくなる最大の原因が、税金だ。会社員は給与天引きで完結していたが、フリーランスは、所得税・住民税・国民健康保険・場合によっては消費税を、後からまとめて自分で払う。

これを忘れて使ってしまうと、納税の時期に「払うお金がない」となる。だから、売上が入るたびに、税金分を先取りして別に積み立てる。手元に残ったお金だけを「使えるお金」と考える。税金は、預かっているだけで、自分のお金ではない。この感覚を独立期に持てるかどうかで、家計の安定が大きく変わる。

家計の「最低ライン」を家族と共有

最後に、家族との関係の話だ。収入が不安定だと、家族も不安になる。だからこそ、家計の状況を一人で抱えず、家族と共有しておきたい。

「毎月、最低これだけは家計に入れる」というラインを決め、家族と握っておく。そして、もし事業が苦しくなったとき、どこまで生活を切り詰められるかも、一緒に話しておく。情報を共有していれば、家族は過度に不安がらずに済むし、いざというときに協力し合える。家計は、一人社長一人のものではなく、家族みんなのものだ。

独立期の一人社長へ

独立期は、事業の不安定さが、そのまま家族の生活の不安定さになりやすい時期だ。だが、家計の仕組みを整えれば、収入が波打っても、生活は安定させられる。

自分に固定給を払い、事業と家計の口座を分け、いい月の余剰を悪い月に回し、税金を先取りで積む。そして、家計の最低ラインを家族と共有する。家計が安定していれば、目先のお金に振り回されず、腰を据えて事業に向き合える。家族の生活を守ることは、事業を長く続けるための、いちばん足元の土台だ。