この記事の結論
パソコンや車など、高額なものを買ったとき、その年に全額を経費にできず、数年に分けて経費にする——これが減価償却だ。一方、一定額未満の少額なものは、その年に全額経費にできる。中小事業者には、少額減価償却資産の特例もある。難しい計算は、会計ソフトがやってくれる。仕組みを理解し、迷ったらソフトや税理士の案内に従えばいい。
この記事は、Lv.2(独立期)の一人社長に向けて書いています。
「高い買い物」は、その年に全額経費にできない
事業で、パソコン、車、機材など、高額なものを買うことがある。これらを経費にしようとしたとき、戸惑うことがある。「高額なものは、買った年に、全額を経費にできない」ことがあるのだ。
なぜか。高額なものは、買った年だけでなく、何年も使う。だから、税務上は、その使う年数にわたって、少しずつ経費にする、という考え方になる。これが減価償却だ。初めて高額なものを買って経費にしようとすると、この仕組みに出会う。難しそうに見えるが、基本を理解すれば、怖くない。
「減価償却」とは
減価償却とは、高額で長く使うものの代金を、その使う年数(耐用年数)にわたって、分割して経費にする仕組みだ。
たとえば、長く使う高額な機材を買ったら、その代金を、一度に全額経費にするのではなく、決められた年数で割って、毎年少しずつ経費にしていく。ものによって、何年で償却するか(耐用年数)が決まっている。パソコン、車、機材など、それぞれ年数が違う。
なぜこうするかというと、長く使うものは、その年だけの費用ではなく、何年もの事業に貢献するからだ。だから、費用も、その年数に対応させる。これが、減価償却の考え方だ。
「少額」なら、その年に全額経費
ただし、すべての買い物が、減価償却の対象になるわけではない。一定額未満の少額なものは、その年に全額を経費にできる。
金額の基準(いくら未満なら全額経費か)は、税制で定められている。この基準を下回るものは、減価償却せず、買った年に全額を経費にできる。多くの日常的な備品は、この範囲に収まる。
つまり、減価償却を意識する必要があるのは、ある程度高額なものを買ったときだけだ。安いものは、これまでどおり、その年の経費にすればいい。「高額なものを買ったときに、減価償却がある」と理解しておけば十分だ。
「特例」の活用も
中小事業者(個人事業主を含む)には、減価償却に関する特例がある。代表的なのが、少額減価償却資産の特例だ。
これは、一定額未満(少額より高い、ある金額までの)の資産について、本来は減価償却するものでも、その年に全額を経費にできる、という特例だ(青色申告が条件など、要件がある)。これを使えば、高めの買い物も、その年に経費にでき、節税につながることがある。
こうした特例は、税制改正で内容が変わることもあるので、その年の最新の制度を確認する。青色申告をしていると使える特例もあるので、自分が使えるものを把握しておく。なお、ここで話している所得計算上の減価償却とは別に、一定額以上の資産を持つと市区町村へ申告する償却資産申告(償却資産税)という別の手続きがあり、名前は似ているが混同しないようにしておく。
計算は「会計ソフトがやってくれる」
減価償却の計算——耐用年数、毎年いくら経費にするか——は、自分で手計算しようとすると、複雑だ。だが、安心してほしい。会計ソフトが、計算してくれる。
会計ソフトに、買ったもの、金額、購入日を入力すれば、ソフトが、耐用年数に応じて、毎年の減価償却費を自動で計算し、経費に反映してくれる。あなたは、難しい計算を覚える必要はない。「高額なものを買ったら、ソフトに減価償却資産として登録する」と知っていれば、後はソフトがやってくれる。
迷ったら、ソフトの案内に従うか、税理士に確認する。減価償却は、仕組みを知っていれば、実務はソフトに任せられる。これは、確定申告の他の部分と、同じだ。
独立期の一人社長へ
事業で高額なものを買ったとき、その年に全額経費にできず、数年に分けて経費にする——これが減価償却だ。初めて高額な買い物をして経費にしようとすると、出会う仕組みだ。
高額なものは数年に分けて経費になると知り、少額なものはその年に全額経費にできると理解する。中小事業者向けの特例も活用を検討し、難しい計算は会計ソフトに任せる。減価償却は、言葉は難しそうだが、考え方はシンプルで、実務はソフトがやってくれる。「高額な買い物は、何年かに分けて経費にする」。これだけ知っていれば、独立期の経費処理で、戸惑わずに済む。仕組みを理解しておくことが、お金の管理を、一段自分のものにする。