この記事の結論
経費かどうかの判断基準は、たった一つ。「その支出が、事業のために必要だったか」。事業のための支出なら経費になり、プライベートな支出なら経費にならない。公私が混ざるものは、事業で使った割合で按分する。そして、領収書を保存する。シンプルな基準を持てば、「これは経費になる?」と迷わなくなる。
この記事は、Lv.1(準備期)の一人社長に向けて書いています。
「これは経費になる?」の迷い
副業や個人事業を始めると、すぐにぶつかるのが「これは経費にできるのか」という迷いだ。カフェでの作業代、本代、交通費、パソコン、スマホ代。次々と、判断に迷う場面が出てくる。
この迷いは、経費の判断基準を持っていないことから来る。逆に、一つのシンプルな基準を持てば、ほとんどの場面で、自分で判断できるようになる。経費の判断は、難しい知識の問題ではなく、基準を持っているかどうかの問題だ。
判断基準は「事業のために必要か」
経費かどうかを分ける、唯一にして最も重要な基準は、これだ。「その支出は、事業のために必要だったか」。
事業の売上を得るために、あるいは事業を続けるために必要な支出なら、経費になる。プライベートな生活のための支出なら、経費にはならない。
- 仕事で使う本、ツール、機材 → 経費
- 仕事の打ち合わせの飲食代 → 経費
- 個人的な趣味の買い物、家族との外食 → 経費ではない
「これは、事業のために必要だと、堂々と説明できるか」。この問いに「はい」と言えるなら、経費。言えないなら、経費ではない。事業との関連性が、すべての分かれ目だ。これは、法人の経費判断とも、同じ考え方だ。
公私が混ざるものは「按分する」
迷いやすいのが、事業にもプライベートにも使うものだ。自宅で仕事をする場合の家賃・光熱費、仕事にも私用にも使うスマホやパソコン。
これらは、全額を経費にも、全額を私費にもできない。事業で使っている割合に応じて、按分する。たとえば、自宅の一室を仕事に使っているなら、その面積の割合で家賃の一部を経費に。スマホを仕事で半分使うなら、料金の半分を経費に。
按分の割合は、「合理的に説明できる」ものにする。なぜその割合なのかを、自分で説明できるようにしておく。公私が混ざるものは、適当に全額経費にせず、按分で対応する。
領収書・レシートを「保存する」
経費にするには、その支出があったことを示す証拠が要る。領収書やレシートを、保存しておく。
支払ったら、領収書をもらい、なくさないように保管する。スマホで撮影してデータで残すのも有効だ。証拠がないと、いざというときに経費として認められにくい。「これは経費」と思った支出は、必ず証拠を残す習慣をつける。準備期のうちに、この習慣を持っておくと、後の確定申告がぐっと楽になる。
「経費=節税」だが、使いすぎない
経費にできると、その分、課税される所得が減り、税金が軽くなる。だから、「経費にできるものは、しっかり経費にする」のは正しい。見落として損をしないように、事業のための支出は、漏れなく経費にする。
ただし、注意点がある。「経費になるから」と、必要でないものを買わないこと。経費にしても、お金が出ていくことに変わりはない。1万円の経費で節税できるのは、税率分(数千円)だけだ。残りは、出ていったお金だ。「節税のため」に不要な買い物をするのは、本末転倒だ。本当に事業に必要なものを、経費にする。これは、拡大期の節税の考え方にも通じる原則だ。
迷ったら、記録を残して後で確認
経費の判断には、グレーなものもある。判断に迷ったら、その場で完璧に決めようとせず、支出の記録(日付・金額・目的)を残しておき、後でまとめて確認する。
「何のための支出か」をメモしておけば、後で「これは経費になるか」を調べたり、確定申告の時期に確認したりできる。判断に詰まって手が止まるより、記録を残して先に進む。これは、帳簿のつけ方とも、つながる。迷いを、記録で先送りして、後で解決する。
準備期の一人社長へ
経費にできるかどうかは、準備期の一人社長が、最も頻繁に迷う問題だ。だが、判断基準はシンプル。「事業のために必要だったか」。これ一つを持てば、ほとんどの場面で、自分で判断できる。
事業のための支出かを基準にし、公私が混ざるものは按分し、領収書を保存する。経費は節税になるが、使いすぎない。迷ったら記録を残して後で確認する。経費の判断は、難しい知識ではなく、基準と習慣の問題だ。この基準を準備期に身につければ、お金の管理が、ぐっと自分のものになる。それが、事業者としての第一歩だ。