この記事の結論
経営判断は、情報に基づいて行う。だが、その情報が間違っていれば、どんなに優れた判断力も、誤った結論に導かれる。法人期は、判断の土台となる情報の信頼性を、意識して見極める。鍵は、出どころを確認し、自社の数字(一次情報)を信頼し、伝聞と事実を区別し、情報の鮮度を意識すること。重要な情報は、複数の経路で裏を取る。判断の質は、情報の質で決まる。
この記事は、Lv.4(法人期)の一人社長に向けて書いています。
判断は、情報の上に成り立つ
法人期になると、経営判断の重みが増す。投資、提携、人事、事業の方向性。これらの判断は、すべて、何らかの情報に基づいて行われる。市場の状況、自社の数字、相手の情報、業界の動向。
ここに、見落とされがちな、しかし決定的な事実がある。情報が間違っていれば、判断も間違う。どんなに優れた判断力を持っていても、土台となる情報が誤っていれば、導かれる結論は誤る。「Garbage in, garbage out」——質の悪い情報からは、質の悪い判断しか生まれない。だから、判断力を磨くと同時に、判断の土台となる情報の信頼性を、見極める必要がある。
「出どころ」を確認する
情報の信頼性を見極める、最も基本的な方法が、出どころを確認することだ。その情報は、どこから来たのか。
信頼できる情報源か。一次情報(直接の事実)か、二次情報(誰かを経由した情報)か。発信者に、その情報を歪める利害はないか。重要な判断に使う情報ほど、出どころを確認する。出どころの分からない情報、信頼できない情報源からの情報を、判断の土台にしない。これは、情報を正しく扱う、という強化書の基本姿勢の、経営版だ。
自社の「数字」を、最も信頼する
経営判断の土台として、最も信頼できる情報は、**自社の数字(一次情報)**だ。売上、利益、資金繰り、各事業の損益。これらは、自社で確認できる、確かな事実だ。
外部の情報や、人から聞いた話は、不確実なことも多い。だが、自社の数字は、正しく記録されていれば、最も確かな判断材料になる。だからこそ、自社の数字を、正確に、最新の状態で把握しておくことが、重要になる。あやふやな外部情報に振り回される前に、確かな自社の数字を、判断の軸に据える。これは、決算や複数事業の損益管理とも、つながる。
「伝聞・噂」と「事実」を区別する
経営をしていると、いろいろな情報が耳に入る。「あの会社が危ないらしい」「この業界は、これから伸びるらしい」。だが、これらの多くは、伝聞や噂だ。確認された事実ではない。
伝聞や噂を、事実と区別せずに判断の土台にすると、危うい。「〜らしい」という情報は、「〜らしい」として扱い、確認された事実とは、重みを分ける。重要な判断に関わる情報なら、噂のまま使わず、事実を確認する。情報を、確かさのレベルで仕分けする。すべてを同じ重みで扱わない。
情報の「鮮度」を意識する
情報には、鮮度がある。かつて正しかった情報も、状況が変われば、古くなる。市場、相手の状況、業界の動向——これらは、刻々と変わる。
古い情報を、今も正しいと思い込んで判断すると、誤る。「この情報は、いつの時点のものか」を意識する。特に、変化の速い分野の情報は、鮮度が重要だ。過去の成功体験や、古いデータに頼りすぎず、今の情報で判断する。情報の鮮度を意識することが、変化に対応した判断を支える。
重要な情報は「複数の経路で裏を取る」
経営を左右する重要な情報ほど、一つの情報源だけで判断しない。複数の経路で裏を取る。
一つの情報源は、間違っているかもしれないし、偏っているかもしれない。複数の経路から確認して、一致すれば、信頼性は高い。食い違えば、さらに確認が要る。重要な判断ほど、情報のクロスチェックを欠かさない。一つの情報を鵜呑みにして大きな判断をするのは、リスクが大きい。手間でも、裏を取る。これは、人や会社を見極めるときの、クロスチェックとも通じる。
法人期の一人社長へ
法人期の経営判断は、重みを増す。そして、その判断は、すべて情報の上に成り立つ。情報が間違っていれば、判断も間違う。判断力を磨くと同時に、判断の土台となる情報の信頼性を、見極める必要がある。
情報の出どころを確認し、自社の数字(一次情報)を最も信頼し、伝聞と事実を区別する。情報の鮮度を意識し、重要な情報は複数の経路で裏を取る。経営における情報の扱いは、踊らされないための情報リテラシーの、応用編だ。確かな情報を土台にすることが、確かな経営判断を生む。判断の質は、情報の質で決まる——この原則を、法人期の一人社長は、肝に銘じておきたい。