この記事の結論
法人になると、扱う情報も、それに伴う責任も大きくなる。情報漏洩は、一度起きれば、積み上げた信用を一瞬で失う。専門家でなくても、基本を押さえれば、リスクは大きく減らせる。鍵は、パスワードを強固にして使い回さない、二段階認証を使う、顧客情報の扱いにルールを設ける、ソフトを最新に保つ、不審なメールに警戒する。顧客の信頼は、データの守りに宿る。
この記事は、Lv.4(法人期)の一人社長に向けて書いています。
法人になると、情報の責任が増す
法人になると、扱う情報の量も、機密性も上がる。顧客の個人情報、取引先の機密、契約情報、従業員の情報。これらを預かる責任は、個人事業のときより、格段に重い。
そして、情報漏洩は、起きてしまえば、取り返しがつかない。顧客の情報が漏れれば、その顧客の信頼を失い、賠償問題にもなり得る。積み上げてきた信用が、一度の漏洩で、一気に崩れる。「自分のような小さな会社は狙われない」は、通用しない。むしろ、対策の手薄な小規模事業者ほど、狙われやすい。法人期は、情報セキュリティを、本気で考えるべき時期だ。
まず「パスワード」を固める
情報セキュリティの、最も基本的で、最も重要な対策が、パスワードだ。多くの情報漏洩は、パスワードの甘さから起きる。
- 使い回さない:一つのサービスのパスワードが漏れると、使い回していた他のサービスも、すべて破られる
- 強固にする:単純なパスワードは、簡単に破られる。長く、複雑なものにする
- 管理ツールを使う:たくさんの強固なパスワードは、覚えられない。パスワード管理ツールで、安全に管理する
パスワードを固めるだけで、リスクは大きく減る。地味だが、最も効果的な対策だ。まず、ここから手をつける。
「二段階認証」を有効にする
パスワードに加えて、強力な守りになるのが、二段階認証だ。
二段階認証は、パスワードに加えて、もう一つの確認(スマホへの通知、コードの入力など)を求める仕組みだ。これがあれば、たとえパスワードが漏れても、その second の確認がなければ、ログインできない。攻撃者を、大きく阻める。
メール、クラウド、ネット銀行、重要なサービス——これらで二段階認証を有効にする。設定は一度だけの手間だ。それで、不正アクセスのリスクが大幅に下がる。重要なサービスほど、必ず有効にしておく。
顧客情報の「扱いのルール」を決める
法人が守るべき情報の中でも、特に重要なのが、顧客情報だ。これをどう保管し、どう共有するか、ルールを決めておく。
- どこに、どう保管するか(安全な場所か)
- 誰が、アクセスできるか
- 外部(外注先など)と共有するとき、どう守るか
- 不要になった情報を、どう処分するか
外注先に顧客情報を渡すときは、その相手とも秘密保持の取り決めをする。曖昧なまま、あちこちに顧客情報が散らばっている状態は、危険だ。顧客情報の扱いに、明確なルールを設ける。これは、顧客への責任であり、信頼を守る土台だ。
OS・ソフトを「最新に保つ」
見落とされがちだが、重要なのが、OSやソフトウェアを最新に保つことだ。
ソフトウェアには、時々、セキュリティ上の欠陥(脆弱性)が見つかる。アップデートは、その欠陥を修正するために配布される。アップデートを放置すると、その欠陥を突かれる危険が残り続ける。
「面倒だから後で」とアップデートを先延ばしにせず、こまめに最新に保つ。自動更新を有効にしておくのも有効だ。これは、手間をかけずにできる、基本的な防御だ。古いまま放置されたソフトは、攻撃者にとって、開いたままの入口になる。
不審なメール・リンクに警戒する
技術的な対策をしても、最後の穴になりやすいのが、人の油断だ。特に、不審なメールやリンクに注意する。
実在の会社や取引先を装って、偽のサイトに誘導し、IDやパスワードを盗む手口(フィッシング)は、巧妙化している。「アカウントを確認してください」「支払い情報を更新してください」といったメールのリンクを、安易にクリックしない。少しでも怪しいと感じたら、リンクからではなく、正規のサイトやアプリから確認する。慌てさせて判断を奪うのが、攻撃の常套手段だ。一拍置いて、警戒する。
法人期の一人社長へ
法人になると、扱う情報も責任も大きくなり、情報漏洩のダメージは計り知れない。一度の漏洩が、積み上げた信用を一瞬で崩す。だが、専門家でなくても、基本を押さえれば、リスクは大きく減らせる。
パスワードを強固にして使い回さず、二段階認証を使い、顧客情報の扱いにルールを設け、ソフトを最新に保ち、不審なメールに警戒する。情報セキュリティは、難しい技術の話ではなく、基本的な習慣の積み重ねだ。顧客の信頼は、目に見えないデータの守りに宿る。その守りを固めることが、法人期の一人社長の、信用を守る責任だ。