この記事の結論

拡大期になると、繰り返しの定型作業が積み重なり、自分の貴重な時間を奪う。これを自動化できれば、本当に価値ある仕事に集中できる。鍵は、繰り返す作業を洗い出し、自動化できるものと人がやるべきものを分け、小さく試して効果を確認すること。そして、浮いた時間を、価値ある仕事に回す。繰り返す作業を、自分の手から離す。それが、拡大期の効率化の核心だ。

この記事は、Lv.5(拡大期)の一人社長に向けて書いています。

繰り返す作業が、時間を奪う

拡大期になると、事業の規模とともに、こまごました作業が増える。請求書の作成と送付、定型的なメールの返信、データの転記、予約や問い合わせの対応、報告の作成。一つひとつは小さくても、積み重なると、相当な時間を食う。

そして、これらの作業の多くは、繰り返しの定型作業だ。毎回、同じことをしている。一人社長の最も希少な資源は、自分の時間だ。その貴重な時間が、繰り返しの作業で、どんどん削られていく。これを放置すると、本当に価値ある仕事——考えること、判断すること、人と向き合うこと——に使う時間が、なくなる。拡大期は、繰り返す作業を、自動化で手放すべき時期だ。

まず「繰り返している作業」を洗い出す

自動化の第一歩は、ツールを探すことではなく、「自分が、何を繰り返しているか」を洗い出すことだ。

一日、一週間の自分の仕事を振り返り、「これ、毎回やっているな」という作業をリストアップする。定型的なメール、データの入力・転記、書類の作成、ルーティンの確認作業。繰り返しているものほど、自動化の効果が大きい。何を自動化すべきかは、まず、自分の繰り返し作業を見える化することから始まる。漠然と「効率化したい」ではなく、具体的な対象を特定する。

「自動化できる作業」と「人がやるべき作業」を分ける

洗い出した作業を、自動化できるものと、人(自分)がやるべきものに分ける。

  • 自動化できる:手順が決まっている、判断が要らない、繰り返しの作業
  • 人がやるべき:判断が要る、創造性が要る、人との関係が関わる作業

定型的で、手順が決まっている作業は、自動化に向く。一方、その場の判断や、相手に応じた対応が要る作業は、無理に自動化すると、かえって質が落ちる。すべてを自動化しようとせず、自動化に適した作業を選ぶ。この仕分けが、自動化の成否を分ける。手順化できるものを、自動に渡す。

「小さく試して」効果を確認する

自動化は、いきなり大がかりにやろうとすると、設定に時間がかかり、うまくいかないと、かえって非効率になる。だから、小さく試して、効果を確認する

一つの作業を、自動化してみる。それで、本当に時間が浮いたか、ちゃんと機能するかを確認する。効果があれば、次の作業に広げる。なければ、やり方を見直す。小さく始めて、効果を確かめながら、徐々に自動化の範囲を広げる。最初から完璧な自動化を目指さず、一つずつ、確実に。AI活用や、ツールの選定とも、つながる発想だ。

自動化の「メンテナンス」も設計する

自動化は、作って終わりではない。メンテナンスと確認も、設計に含める。

自動化した仕組みは、状況が変われば、動かなくなったり、間違った処理をしたりすることがある。完全に放置すると、気づかないうちに、ミスが積み重なる。だから、自動化したものが、ちゃんと正しく動いているかを、定期的に確認する仕組みも持つ。「自動だから、もう見なくていい」ではなく、「自動だが、ときどき確認する」。これにより、自動化を安心して任せられる。

浮いた時間を「価値ある仕事」に回す

自動化の目的は、時間を浮かせること自体ではない。浮いた時間を、何に使うかが本質だ。

繰り返し作業から解放されて生まれた時間を、また別の雑務で埋めては、意味がない。その時間を、自動化できない、本当に価値ある仕事——事業の方向を考える、重要な判断をする、人と向き合う、新しい挑戦をする——に回す。自動化は、あなたを、繰り返しの作業から解放し、より価値の高いことに集中させるための手段だ。生まれた時間の使い道を、意識する。

拡大期の一人社長へ

拡大期になると、繰り返しの定型作業が積み重なり、自分の貴重な時間を奪う。これを自動化できれば、本当に価値ある仕事に集中できる。一人社長が「一人のまま」事業を広げる、強力な手段だ。

繰り返している作業を洗い出し、自動化できるものと人がやるべきものを分け、小さく試して効果を確認する。自動化のメンテナンスも設計し、浮いた時間を価値ある仕事に回す。繰り返す作業を、自分の手から離すことで、一人社長は、自分にしかできないことに、時間を使えるようになる。業務の自動化は、拡大期の一人社長が、限られた時間を最大限に活かすための、効率化の核心だ。