この記事の結論
ツールやサービスのサブスク(SaaS)は、便利だが、放っておくと膨らむ。拡大期になると、その総額は、無視できない固定費になる。鍵は、契約中のSaaSを一覧で把握し、重複・未使用を定期的に洗い出し、プランが事業規模に合っているかを見直すこと。特に、人数課金のツールは注意する。「気づけば月◯万円」を防ぐのが、コスト最適化だ。
この記事は、Lv.5(拡大期)の一人社長に向けて書いています。
SaaSは、気づかぬうちに膨らむ
事業を続けるうちに、便利なツールやサービス(SaaS)を、次々と契約していく。会計、プロジェクト管理、デザイン、コミュニケーション、ストレージ、各種の業務ツール。一つひとつは、月数百円〜数千円。便利だから、つい契約する。
そして、拡大期になると、これらの総額が、無視できない金額になっている。チームで使うものも増え、人数課金のものは、人が増えるほど高くなる。「気づけば、SaaSだけで月に数万円、年に数十万円」ということが、珍しくない。SaaSのコストは、放っておくと膨らむ。拡大期は、これを管理し、最適化すべき時期だ。
まず「一覧で把握する」
SaaSのコスト最適化の第一歩は、契約中のものを、すべて一覧で把握することだ。
何を契約していて、それぞれいくら払っているか。月額・年額の総額はいくらか。これを可視化する。クレジットカードや口座の明細を見れば、毎月の引き落としが分かる。
拡大期は、契約が多くなり、しかもチームの誰かが契約したものもあって、全体像が見えにくくなる。「何に、いくら払っているか」を一覧にするだけで、無駄が見えてくる。これは、ツールの棚卸しを、拡大期の規模で行うものだ。見えないものは、最適化できない。
「重複・未使用」を洗い出す
一覧にしたら、重複と未使用を洗い出す。
- 機能が重複しているツールはないか(同じことが、複数のツールでできる)
- 使われていないツールはないか(契約したが定着しなかった、もう使っていない)
- 試用のまま、課金され続けているものはないか
拡大期は、過去に契約したものが、整理されないまま残りがちだ。重複は統合し、未使用は解約する。これだけで、コストが減り、管理もシンプルになる。定期的に洗い出すことを、習慣にする。引き算の最適化だ。
プランが「事業規模に合っているか」
SaaSは、複数のプランがあることが多い。事業の成長に合わせて、プランが今の規模に合っているかを見直す。
- 使っていない上位機能のために、高いプランを払っていないか
- 逆に、規模が大きくなり、上位プランのほうが割安にならないか
- 年払いにすると安くなるものを、月払いのままにしていないか
プランの見直しで、同じツールを、より適切なコストで使える。過剰なプランを下げる、割安な年払いに切り替える。事業の規模と使い方に、プランを合わせる。これも、最適化の一部だ。
「人数課金」に特に注意
拡大期に、SaaSのコストを押し上げる最大の要因が、人数課金だ。多くのチーム向けツールは、使う人数に応じて、料金が増える。
人(外注、メンバー)が増えるほど、人数課金のツールの費用は、積み上がっていく。しかも、複数のツールが人数課金だと、その合計は、急速に膨らむ。
だから、人数課金のツールは、特に注意して管理する。本当に全員に必要か、一部の人だけでいいか。使っていない人のアカウントを、放置していないか。人数課金は、人の増減に応じて、こまめに見直す。ここの管理を怠ると、コストが想定外に膨らむ。
「固定費」として総額を意識
SaaSのコストは、毎月発生する固定費だ。固定費は、業績に関わらずかかり、利益を圧迫する。
一つひとつは小さくても、固定費は、積み重なると経営に効いてくる。資金繰りを考えるとき、この固定費の総額を、意識する。「便利だから」と無自覚に増やすのではなく、「これは、月々の固定費として、見合う価値があるか」で判断する。固定費を抑えることは、事業の損益を改善する、地味だが確実な手段だ。これは、資金繰り管理とも、つながる。
拡大期の一人社長へ
SaaSは便利だが、放っておくと膨らみ、拡大期には無視できない固定費になる。「気づけば月◯万円」を防ぐには、管理と最適化が要る。
契約中のSaaSを一覧で把握し、重複・未使用を定期的に洗い出し、プランが事業規模に合っているかを見直す。特に、人数課金のツールに注意し、固定費として総額を意識する。SaaSのコスト最適化は、派手ではないが、確実に利益を改善する。便利さに無自覚にお金を払い続けるのではなく、本当に価値のあるものに絞る。それが、拡大期の一人社長の、賢いコスト管理だ。