この記事の結論
自宅で仕事をすると、家賃・光熱費・通信費などの一部を経費にできる。だが、全額ではない。事業で使う割合だけを経費にする——これが「家事按分」だ。家賃は面積、光熱費は使用実態、車・スマホは使用時間・日数で、合理的に按分する。鍵は、按分の根拠を説明できるようにしておくこと。公私が混ざるものを、適切な割合で経費にする考え方を、押さえたい。
この記事は、Lv.2(独立期)の一人社長に向けて書いています。
公私が混ざるものは「全額経費にできない」
自宅で仕事をする一人社長は多い。すると、家賃、電気代、ネット代、スマホ代——これらは、事業にも、生活にも使う。「事業で使っているから経費にしたい」が、ここで問題になる。
公私が混ざるものは、全額を経費にはできない。生活のためにも使っているのだから、その分は経費ではない。だから、事業で使っている割合だけを、経費にする。これが「家事按分」だ。経費にできるものの判断で触れた按分を、もう少し具体的に見ていく。家事按分を理解すれば、自宅で働く一人社長の経費を、適切に計上できる。
「事業で使う割合」を出す
家事按分の基本は、「そのものを、事業でどれくらい使っているか」の割合を出すことだ。
事業で50%使うなら、その費用の50%を経費に。30%なら30%を。この割合を、合理的な根拠で決める。「なんとなく半分」ではなく、「こういう理由で、この割合」と説明できる形にする。割合の出し方は、ものによって違う。代表的なものを見ていく。
「家賃」は面積で按分
自宅兼事務所の家賃は、一般に、面積で按分する。
家全体のうち、仕事に使っているスペース(部屋や、作業スペース)が、何割を占めるか。その面積の割合で、家賃の一部を経費にする。たとえば、家全体の20%を仕事部屋として使っているなら、家賃の20%を経費に、という考え方だ。
仕事専用の部屋があれば、その面積で計算しやすい。リビングの一角で作業する場合も、おおよその割合で、合理的に按分する。面積という、客観的な基準で割合を出すので、説明しやすい。
「光熱費」は使用実態で
電気代・ガス代などの光熱費は、使用の実態で按分する。
仕事でどれくらい電気を使うか、家にいて仕事をしている時間の割合などから、合理的な割合を出す。家賃ほど明確な基準はないが、「仕事でこれくらい使っている」という実態に基づいて、按分する。在宅で長時間仕事をするなら、その分、事業の使用割合は高くなる。実態に即した、説明できる割合にする。
「車・スマホ」は使用時間・日数で
車やスマホなど、事業にも私用にも使うものは、使用時間や日数で按分する。
- 車:事業で使う日数・走行距離の割合
- スマホ:仕事で使う時間・用途の割合
これらも、「事業でこれくらい使っている」という割合を、合理的に出す。車を週のうち事業で3日使うなら、その割合で。スマホを仕事半分・私用半分なら50%。使用の実態に基づいて、按分する。これらの按分は、減価償却(車など高額なもの)とも、関わってくる。
「按分の根拠」を説明できるように
家事按分で、最も大事なのが、按分の根拠を、説明できるようにしておくことだ。
なぜその割合なのか。面積は何㎡のうち何㎡か、使用時間はどれくらいか。これらの根拠を、記録しておく。税務調査などで問われたとき、「こういう理由で、この割合にしています」と説明できれば、問題ない。逆に、根拠なく、適当に高い割合を経費にすると、否認されることがある。
按分は、ごまかして高くするものではなく、実態に即して、合理的に出すものだ。根拠を持って、堂々と説明できる割合にする。これは、経費の正当性を記録で裏付けることと、同じだ。
迷ったら、税理士・ソフトに
家事按分の割合に迷ったら、自己流で決めず、税理士に相談するか、会計ソフトの案内に従う。
何を、どの基準で、どれくらい按分するのが妥当か。これは、判断に迷うことも多い。会計ソフトには、家事按分を入力する機能があり、案内に従えば処理できる。不安なら、税理士に「この按分で問題ないか」を確認する。適切な按分は、節税にもつながるので、漏らさず、かつ適正に計上したい。
独立期の一人社長へ
自宅で仕事をすると、家賃・光熱費・通信費などの一部を経費にできる。だが、全額ではなく、事業で使う割合だけ——これが家事按分だ。公私が混ざるものを、適切に経費にする考え方だ。
家賃は面積、光熱費は使用実態、車・スマホは使用時間・日数で、合理的に按分する。そして、按分の根拠を説明できるようにし、迷ったら税理士やソフトに従う。家事按分は、自宅で働く一人社長の、正当な経費だ。ごまかすのではなく、実態に即して、適正に計上する。これを押さえれば、自宅で働く分のコストを、漏らさず経費にでき、お金の管理が一段正確になる。