この記事の結論
事業が大きくなるほど、忙しさで、家族との時間は削られていく。「落ち着いたら」と思っているうちに、子どもは大きくなり、時間は過ぎる。「落ち着いたら」は、永遠に来ない。だから、家族との時間を、予定として先に確保し、自分が抜けられる仕組みを作る。量だけでなく質のある時間を持つ。忙しさに、いちばん大切なものを奪わせない。
この記事は、Lv.5(拡大期)の一人社長に向けて書いています。
「落ち着いたら」は、永遠に来ない
事業が拡大期に入ると、忙しさは増す一方だ。そして、その忙しさの中で、真っ先に削られるのが、家族との時間だ。「今は事業が大事な時期だから」「落ち着いたら、家族との時間を取ろう」。多くの一人社長が、そう考える。
だが、ここに、残酷な真実がある。「落ち着いたら」は、永遠に来ない。事業は、落ち着いたと思えば、次の課題が来る。忙しさに終わりはない。そして、その間に、子どもは成長し、親は年を取り、家族と過ごせたはずの時間は、二度と戻らない。「いつか」を待っていると、いちばん大切な時間を、永遠に逃す。これに気づくのが、拡大期だ。
何のために、働いているのか
ここで、立ち返りたい問いがある。「自分は、何のために働いているのか」。
多くの一人社長は、家族のため、大切な人との生活のために、事業を頑張っている。なのに、その事業の忙しさが、肝心の家族との時間を奪っている。これは、本末転倒だ。手段(働くこと)が目的化し、本来の目的(大切な人との生活)を、犠牲にしている。
事業の成功は、家族との時間を犠牲にしてまで、追うべきものなのか。この問いに、ときどき立ち返る。何のために働いているのかを見失わないことが、家族との時間を守る、出発点になる。
家族との時間を「先に確保する」
家族との時間を守る方法は、仕事や運動や休みと、同じだ。「時間ができたら」では、確保できない。予定として、先に確保する。
子どもの行事、家族での食事、休みの日の過ごし方。これらを、仕事の予定を入れる前に、カレンダーに入れてしまう。「この日は、家族の時間」と決めて、仕事を入れない。先に確保すれば、それを前提に仕事を組める。仕事の合間に余った時間を家族に充てるのではなく、家族の時間を先に確保して、残りで仕事をする。この順番の逆転が、家族との時間を守る、最も確実な方法だ。
自分が「抜けられる仕組み」を作る
家族との時間を確保するには、自分がいなくても、事業がある程度回る必要がある。すべてを自分が抱えていると、休もうにも休めない。だから、自分が抜けられる仕組みを作る。
仕事を任せる、自動化する、自分がいない間も回る体制を作る。これは、一人社長のまま仕組み化することや、人に任せることと、深くつながる。自分が抜けられる仕組みがあれば、家族との時間に、安心して仕事から離れられる。仕組み化は、効率のためだけでなく、大切な人との時間を持つためでもある。
「質」のある時間を持つ
家族との時間は、長さ(量)だけが大事なのではない。質も大事だ。
家にいても、スマホで仕事の連絡をちらちら見ていたら、家族と一緒にいても、心はそこにない。家族との時間には、仕事を完全に切り、目の前の人に、ちゃんと向き合う。短くても、質のある、心の通った時間を持つ。
忙しくて、量を十分に取れないときもある。だからこそ、取れる時間の質を高める。「ながら」ではなく、しっかり向き合う。家族が本当に求めているのは、長い時間そばにいることより、向き合ってくれる時間なのかもしれない。量と質、両方を意識する。
拡大期の一人社長へ
事業が大きくなるほど、忙しさで、家族との時間は削られていく。「落ち着いたら」と思っているうちに、取り返せない時間が、過ぎていく。だが、何のために働いているのかを思えば、家族との時間は、犠牲にしていいものではないはずだ。
「落ち着いたら」は永遠に来ないと知り、家族との時間を予定として先に確保し、自分が抜けられる仕組みを作り、質のある時間を持つ。そして、何のために働いているかを、定期的に問い直す。事業の成功も大切だ。だが、その成功が、本来守りたかったものを失わせては、意味がない。忙しさに、いちばん大切なものを奪わせない。家族との時間を仕組みで守ることは、拡大期の一人社長が、本当の意味で豊かであるための、最も大切な設計だ。