この記事の結論

税理士や専門家に相談すると、つい言葉を鵜呑みにしてしまう。だが、専門家にも、本音と建前があり、利害もある。鍵は、専門家を「先生」と神格化せず、対等に付き合うこと。「一般論」と「あなた向けの助言」を区別し、本音を引き出す質問をし、複数の意見でクロスチェックする。専門家を、敬いつつも鵜呑みにしない。それが、専門家を活かす付き合い方だ。

この記事は、Lv.3(安定期)の一人社長に向けて書いています。

専門家の言葉を、鵜呑みにしてしまう

安定期になると、税理士をはじめ、様々な専門家に相談する機会が増える。専門家は、その道のプロだ。だから、つい、その言葉を鵜呑みにしてしまう。「先生がそう言うなら」と。

だが、ここに落とし穴がある。専門家も人間であり、立場があり、利害がある。そして、相談の場では、本音をすべて語るとは限らない。建前で、無難な答えをすることもある。専門家の言葉を、神の言葉のように受け取ると、判断を誤る。専門家を敬いつつも、その言葉を、適切に読み解く力が要る。

「先生」と神格化しない

専門家との付き合いで、まず手放したいのが、「先生」という神格化だ。専門家を、自分より上の、絶対の存在として扱うと、対等な関係が築けない。

専門家は、特定の分野のプロだ。だが、あなたの事業全体のプロでも、あなたの人生のプロでもない。彼らは、専門知識を持つ、一人のパートナーだ。神格化して言いなりになるのではなく、対等な立場で、相談し、判断する。「先生」と崇めるのをやめ、「専門知識を借りる相手」として、フラットに付き合う。これは、専門家を神格化しないという、強化書の基本姿勢だ。

専門家にも「利害・立場」がある

専門家の言葉を読み解くうえで、知っておきたいのが、専門家にも利害や立場があるということだ。

税理士は、税務のプロだが、顧問契約という利害がある。保険の専門家は、保険を売る立場だ。彼らの助言は、その立場から来ていることがある。「法人化したほうがいい」「この保険に入ったほうがいい」——その助言が、純粋にあなたのためか、提案する側のメリットも含むのか。利害があること自体は悪くない。だが、それを知った上で、助言を割り引いて聞く。これは、専門家のポジショントークの見抜き方とも、深くつながる。

「一般論」と「あなた向け」を区別

専門家の助言には、「一般論」と「あなたの状況に即した助言」が、混ざっている。これを区別する。

「一般的には、こうします」は、一般論だ。あなたの規模・段階・状況に、当てはまるとは限らない。一方、「あなたの場合は、こうしたほうがいい」は、あなた向けの助言だ。だが、専門家が、あなたの状況を十分に把握しているとは限らない。

助言を聞いたら、「これは一般論か、自分の状況を踏まえたものか」を問う。そして、「自分の段階・状況に、本当に合っているか」を、自分で判断する。専門家の助言を、自分のフィルターを通して受け取る。これは、全体最適で考える習慣とも、つながる。

「本音を引き出す質問」をする

専門家から、建前ではなく本音を引き出すには、質問の仕方が大事だ。

  • 「一般的にはどうですか」ではなく「あなたなら、どうしますか」と聞く
  • 「やったほうがいいですか」ではなく「やらない場合のデメリットは?」と聞く
  • 「なぜ、そうなのか」と、根拠を尋ねる

こうした質問は、専門家に、より踏み込んだ本音を語らせる。表面的な建前で終わらせず、本当のところを引き出す。良い専門家は、こうした質問に、丁寧に本音で答えてくれる。逆に、根拠を聞かれて言葉に詰まったり、ごまかしたりするなら、その専門家の助言は、割り引いて考える。質問することで、専門家の質も見極められる。

複数の意見でクロスチェック

重要な判断に関わることは、一人の専門家の意見だけで決めない。複数の専門家や意見で、クロスチェックする。

一人の専門家の意見が、偏っていたり、その人の立場に寄っていたりすることはある。別の専門家に聞いてみる、セカンドオピニオンを取る。意見が一致すれば、信頼性は高い。食い違えば、なぜ違うのかを考える。重要な判断ほど、一つの意見に頼らず、複数で確かめる。これは、情報を複数の経路で裏を取る、という姿勢とも、共通する。

安定期の一人社長へ

安定期になり、専門家に相談する機会が増えると、つい言葉を鵜呑みにしてしまう。だが、専門家にも本音と建前があり、利害がある。専門家を活かすには、敬いつつも、鵜呑みにしないバランスが要る。

専門家を「先生」と神格化せず、利害・立場があると理解し、一般論とあなた向けの助言を区別する。本音を引き出す質問をし、複数の意見でクロスチェックする。専門家は、正しく付き合えば、強力なパートナーになる。神格化して言いなりになるのでも、不信で遠ざけるのでもなく、対等に、賢く付き合う。その付き合い方ができることが、専門家を本当に活かす、安定期の一人社長の力だ。