この記事の結論
世の中の「正解」は、たいてい誰かの、ある状況での正解だ。それがあなたの状況にも当てはまるとは限らない。振り回されないために必要なのは、もっと情報を集めることではなく、「これは誰の、どんな前提での正解か」と問う癖を持つこと。最後は「自分はどうしたいか」に立ち返る。それが、踊らされない一人社長の第一歩だ。
この記事は、Lv.1(準備期)の一人社長に向けて書いています。が、全段階に通じる土台でもあります。
「正解」は、なぜこんなに多いのか
ビジネスを始めようとすると、情報が押し寄せる。「フリーランスはまず法人化すべき」「いや、しないほうがいい」「SNSは毎日投稿しろ」「量より質だ」。どれも自信たっぷりに「これが正解」と語られる。
そして、正反対の「正解」が同時に存在する。これに振り回されると、何も決められなくなる。情報を集めれば集めるほど、迷いが深くなる。準備期の一人社長が最初にぶつかる壁が、この「正解の洪水」だ。
なぜこんなに正解が多いのか。答えは単純で、それぞれが違う状況の話をしているからだ。年商3,000万の人の正解と、副業を始めたばかりの人の正解は、違って当たり前。なのに、状況を抜きにして「正解」だけが切り取られて流通する。ここに振り回しの正体がある。
振り回されないための3つの問い
情報に出会ったとき、鵜呑みにする前に3つ問う。これだけで、ほとんどの振り回しから抜け出せる。
問い1:これは「誰の」正解か
その情報は、どんな立場の人が、どんな規模・段階で得た正解か。年商1億の経営者が「人を雇え」と言うのと、独立したての人が同じことを言うのでは、重みも前提もまるで違う。発信者の状況を、結論とセットで見る。状況がわからない正解は、保留していい。
問い2:発信者の「利害」は何か
その正解を語ることで、発信者は何を得るか。商品を売りたいのか、サービスに誘導したいのか、フォロワーを増やしたいのか。利害があること自体は悪くない。だが、利害のある人の「正解」は、その方向に傾いている可能性を割り引いて聞く。「法人化すべき」と言う人が法人設立サービスを売っているなら、その分は差し引く。
問い3:「前提条件」が抜けていないか
多くの正解は、結論だけが切り取られて流通する。「税理士はいらない」という結論には、本当は「年商◯◯までなら」「取引がシンプルなら」という前提がついている。前提が抜けた結論は、危険だ。結論を受け取ったら「どんな条件でこれが成り立つのか」を補って考える。
「自分の状況」というフィルター
3つの問いを通したら、最後に最も大事なフィルターをかける。「それは、今の自分の状況に当てはまるか」。
どれだけ立派な正解でも、あなたの段階・規模・事業の性質に合わなければ、あなたにとっては正解ではない。逆に、世間では非常識とされることでも、あなたの状況では最適、ということもある。
一般論の正解を、自分の状況に当てはめて検算する。この一手間を惜しまない人だけが、情報の洪水の中で溺れずに進める。
集めるより、軸を持つ
不安なとき、人はもっと情報を集めようとする。だが、情報を増やすほど、相反する正解も増え、迷いは深くなる。
本当に必要なのは、情報量ではなく判断の軸だ。軸とは、最終的に「自分はどうしたいか」だ。どんな働き方をしたいのか、何を大事にしたいのか。ここが定まっていれば、無数の正解の中から、自分に合うものを選び取れる。軸がないと、最後に発信された声の大きい正解に流される。
準備期の一人社長へ
準備期は、情報に最も振り回されやすい時期だ。知らないことだらけで、誰の言葉も正しく見える。だからこそ、ここで「正解を鵜呑みにしない思考の癖」をつけておく価値が大きい。
誰の、どんな利害の、どんな前提での正解か。そして、自分の状況に当てはまるか。最後は、自分はどうしたいか。この順番で考えれば、情報はあなたを振り回す敵ではなく、選んで使える道具になる。情報を捨てる力、選ぶ力——それ自体が、一人社長の武器だ。