この記事の結論

請求書は、難しくない。必要な項目——宛先・自分の情報・金額・振込先・支払期限——が入っていれば、十分だ。立派な書式は要らない。テンプレートを使い、過不足なく作る。そして、振込手数料の負担や支払期限を明確にしておけば、入金トラブルも防げる。最初の1枚を、迷わず出せるようにする。

この記事は、Lv.1(準備期)の一人社長に向けて書いています。

初めての請求書で、手が止まる

仕事をして、いよいよ代金を請求する。だが、初めて請求書を作るとき、多くの人の手が止まる。「何を書けばいいのか」「決まった書式があるのか」「失礼がないか」。

請求書は、ビジネスの基本だが、誰も教えてくれない。だから、最初は戸惑う。だが、実は、請求書に決まった「正式な書式」はない。必要な項目が入っていれば、形式は自由だ。何を書けばいいかさえ分かれば、最初の1枚は、迷わず出せる。

請求書に必要な項目

請求書に入れるべき項目は、決まっている。これらが揃っていれば、請求書として十分機能する。

  • 宛先:請求する相手(会社名・担当者名)
  • 自分の情報:屋号・氏名・住所・連絡先
  • 請求金額:何に対する、いくらの請求か(内訳があれば内訳も)
  • 振込先:銀行名・支店・口座番号・口座名義
  • 発行日:請求書を出した日
  • 支払期限:いつまでに払ってほしいか
  • 請求書番号:管理用(あると後で楽)

これらを、一枚にまとめる。デザインに凝る必要はない。情報が過不足なく、分かりやすく載っていることが、何より大事だ。

「振込手数料」を、最初に決めておく

意外とトラブルになりやすいのが、振込手数料だ。相手が振り込むとき、手数料がかかる。これを、どちらが負担するのか。

何も決めていないと、相手が手数料を引いて振り込んできて、請求額より少ない入金になり、「あれ?」となることがある。最初に、「振込手数料はご負担ください」あるいは「当方負担」を、決めて伝えておく。請求書に明記しておくと、行き違いを防げる。小さなことだが、最初に決めておくと、後でもめない。

「支払期限」を明確にする

請求書には、支払期限を必ず入れる。「いつまでに払ってほしいか」が書いていないと、相手も、いつ払えばいいか分からず、入金が遅れる原因になる。

「請求書発行日の翌月末日まで」「◯月◯日まで」のように、具体的に書く。一般的な慣行(月末締め翌月末払いなど)もあるが、相手と取り決めた条件があれば、それに従う。期限を明確にすることで、入金が遅れたときにも、「期限を過ぎています」と、根拠を持って伝えられる。これは、契約書で支払条件を決めることとも、つながる。

「テンプレート」を使い回す

請求書は、毎回ゼロから作る必要はない。一度、自分の情報や振込先を入れたテンプレートを作っておけば、あとは、宛先と金額を変えるだけで使い回せる。

表計算ソフトや、無料の請求書作成サービスで、自分用のテンプレートを作る。これで、請求書を作る手間が、毎回数分で済む。最初に一つ、きちんとしたテンプレートを作っておくことが、その後をずっと楽にする。最低限のツールの一つとして、用意しておきたい。

インボイス制度との関係

請求書に関連して、準備期に知っておきたいのが、インボイス制度だ。取引先が課税事業者で、インボイス(適格請求書)を求める場合、登録番号などを記載した請求書が必要になることがある。

ただし、準備期で取引が小規模なうち、特に取引先が一般消費者中心なら、すぐに対応が必要とは限らない。自分の取引先の状況に応じて判断する。詳しくは、消費税・インボイスの記事も参照してほしい。準備期は、まず基本の請求書を確実に出せることを優先し、インボイスは取引の状況に応じて考える。

準備期の一人社長へ

請求書は、ビジネスの基本でありながら、誰も教えてくれない。だから最初は戸惑うが、必要な項目さえ分かれば、難しくない。

宛先・自分の情報・金額・振込先・支払期限を入れ、振込手数料の負担を決め、テンプレートで使い回す。立派な書式は要らない。過不足なく、分かりやすく。請求書を確実に出せることは、対価を確実に受け取るための、事業者の基本動作だ。最初の1枚を迷わず出せるようになれば、お金を受け取るサイクルが、きちんと回り始める。それが、準備期の一人社長の、商売の土台になる。